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障害受容『リアル』より①ショック期

理解

「障害」と言葉をとってみても、身体的不自由であることを障害という場合もあれば、精神的に気持ちが思うようにならなくて生活が行なえない状態のこともあり、運動会の障害物競争や陸上競技の3000m障害のように環境的というか物理的に行く手を阻むものも障害と呼んでいる。

かつて、介護の仕事を始めて研修などに参加する中で、障害の受容の段階に応じて寄り添い言動に気を付けましょうという内容の研修があった。その場では、明らかに身体的な障害を持った方向けの内容であったと記憶している。

すべての人が同じ順序や感情を経験するわけではないことを前置きに

ショック→否認→怒り→取引→抑うつ→受容

という段階をたどるとエリザベス・キュープラー=ロスが提唱されている。

突然、

脳梗塞から片麻痺になる。事故に合い足を欠損する。作業中に機械で指を切断する。。。

など、五体満足であることの幸せを感じている最中、なにも考えずにごくごく普通に生活していた時、つらい日々に明け暮れている中、などその障害を持つ前の状況はさまざまであったことは簡単に想像がつくものです。

『リアル』とは車椅子バスケットボールを行っている人々の漫画である。筆者の超おすすめの漫画です。

一人、陸上競技で全国大会決勝まで勝ち上がった男の子が足を切断にないといけない病となり、自暴自棄となり、そんな中周りの支えもあり、自身の努力もあり、車椅子バスケで日本代表にまでのぼりつめる一幕がある。

一人、バスケットボールをしていた男の子が周りの人より上手だったが、調子に乗り悪事を働くこともあり。路上にある自転車を盗んで走っていたところ車にはねられ、半身不随状態に。車椅子生活となったが、なかなかをそれを受け入れることができず、気持ちの葛藤が描かれている。

一人、プロレスをしていた男性がバイク事故で半身不随に。しかし、恐ろしいほどの強心臓の持ち主で、自ら目標とする状態や期限を決めて実行していくがうまくいかないこともある。そしてその目標や期限も強い気持ちで変更していくという強い気持ちと柔軟な気持ちとを持ち合わせている。

「突然」という運命は変えることができないものであり、現代の医学というものもある一定の限度から変えることのできないものである。

明日、自分が楽しみにしていることができなくなる状態

ショック以外の何ものでもありません。その大きさや長さには個人差がある。

一人、全国中学陸上競技大会の決勝で100m11秒を切ったら、意中の女の子に告白しようとまで思っていたその決勝で以前から激痛となることがあった足が動かなくなりゴールまで走ることもできなかったというショック

一人、自転車で車にはねられ半身不随となりベッド上で意識が戻り、起きようにも起きられず、ベッド上で看護師におむつ交換や体を清拭されたりと、意識はあるものの他人にされるがままとなったというショック

両者ともに障害は足が動かなくなったことであったが、前者は片足の切断で反対の足は動くという状態、後者は足は両足ともあるにも関わらず、自分の思うように動かせない。

漫画の筆者である井上雄彦先生はとても勉強されたのか、実際に障害を負ってみないとわからないであろう気持ちや描写、言葉や行動などとても感情移入してしまう内容となっている。どちらの場面でも力が入って読み込んでしまう。

「ショック」できれば回避したいものであるが、いつ何時、だれもが回避できない運命を感じる。そのショックを受けている方々と寄り添うお仕事としてはまず医師、看護師であり、その後リハビリでPTやOT、STなどであろう。そしていざ生活の場にもどったときに介護(ヘルパー)の出番となる。

続く・・・

出典:集英社ヤングジャンプコミックス『リアル』著者:井上雄彦

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