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経済財政諮問会議

ニュース

6/11政府は11日に上記会議で今年の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)の原案を提示しました。以下抜粋。

『(医療・介護保険等の改革)・・・ 介護保険制度について、利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し、ケアマネジメントに関する給付の在り方、軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方については、第10期介護保険事業計画期間の開始の前までに検討を行い、結論を得る。あわせて、高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題や、医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題などについて、報酬体系の見直しや規制強化の147 調査研究の推進等を含む。 148 改革工程に基づくほか、「経済財政運営と改革の基本方針2018」において「保険給付率(保険料・公費負担)と患者負担率のバランス等を定期的に見える化しつつ、」「保険料・公費負担、患者負担について総合的な対応を検討する」こととされている。 ・・・介護保険外サービスの利用促進のため、自治体における柔軟な運用、適切なサービス選択や信頼性向上に向けた環境整備を図る。』

いろいろと書かれていますが、わかりやすく分解していきましょう!

①利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し

②ケアマネジメントに関する給付の在り方

③軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方

④高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題

⑤医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題

この5点について、今年考えていきましょう!という政府の指針のようなものですね。

具体的には紐解いていくと

①利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し

現在の介護保険制度では、サービスを利用した際の自己負担額の割合が基本は1割負担となっていますが、制度の公平性を確保するために、所得によって自己負担の割合が変わってきます。

(例)65歳以上の一人暮らしの方

   年間所得額       負担割合

280万円~340万円未満 →2割負担

340万円以上       →3割負担

という感じです。このように年間の所得の額に応じて負担する割合がかわります。例は一人暮らしの場合ですので、世帯の状況によっても変わってくるということですね!「介護保険」「負担割合判定チャート」などで検索すると表示されますので確認ください。

このように年間の所得金額で負担割合を決めているものでありますが、この基準となっている所得の金額を見直そう!と政府が考えているということです。

「なんだと!?そんなの勝手に変えるなよ~」「割合が高い人を増やすために基準金額をさげるんだろ~」「困るよ~」「政治の裏金問題の方を何とかしてからやれよー!」と怒りの声も聞こえてきそうですが、気にしない気にしない。そんなことに気を留めている時間がもったいないですよー。これも資本主義。これが日本。変えるなら選挙に行ってそんなことをしない候補者を選びましょう。人生は明るい!楽しいことを考えましょう!

②ケアマネジメントに関する給付の在り方

次はケアマネジャーが作成する「ケアプラン(介護サービス計画書)」についてです。ケアプランとは、介護を必要とする利用者やその家族の状況や希望をふまえ、利用者に対する支援の方針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた計画書のことです。現在はケアプランを作成してもらったことについて、サービスを利用する利用者は(ケアプラン作成費用のような)自己負担金はありません。

え!ケアマネは無償でしているのか?ボランティアなのか?など疑問も出てきそうですが。いえケアマネはちゃんと介護報酬、という形でいわば国からケアプランの作成費用をいただいていますよ。

政府は以前から、ケアプラン作成についての給付形式(自己負担額なし)について検討をされています。そのうちこちらも自己負担が発生することとなるのではと筆者は考えています。ただ介護保険の基本理念に「自立支援」とあるため、介護サービスを決定するケアプラン作成についても自立を支援する方策も欲しいものであると考えてもいます。要は利用者自身が体感するサービスを専門家とはいえ他の人(ケアマネ)にお任せするような形(もちろん説明同意署名などの承認作業はあります)だけではなく、自分自身で自ら受けるサービスの選定を行う形もあるというのがごく自然のことではないかと・・個人的にはね。。

③軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方

これは、生活援助サービスの給付費を引き下げるまたは生活援助を受けれる対象者を絞り込むような考えがあることを匂わせています。

在宅介護を例に、現在訪問介護というサービスがあります。その訪問介護のサービスの柱は排泄や入浴、食事などの支援を行う「身体介護」そして、掃除、洗濯、買い物などの支援を行う「生活援助」です。この生活援助サービスをいわば狭小化しなければいけない!と考えているようです。理由はいくつかあります。

まず、今後明らかとなっている介護職員不足です。のちの④⑤にも関係してきます。次に「自立支援」です。介護現場では適正介護を受けているという方は現場では少ないのではないでしょうか?実際の身体能力や身体構造から判断するとこのサービスは適正なのか?いやいやできるでしょう!この前自分でされていましたよ!などよくある話です。いわば「過剰介護」の問題です。最後にいやな話ですが、事業所の利益確保のためです。事業継続のためには収益確保です。実際の利用者の能力を考えると必要のないサービスを提供するということでも行ったことに対する報酬を受け取り、売上を上げたいという事業所の思惑も感じるところですね。国の介護保険制度が破綻しているなどの話ももちろんありますね。

④高齢者向け住宅の入居者に対する過剰な介護サービス提供(いわゆる「囲い込み」)の問題

次は高齢者向け住宅についてです。言葉にある通り入居された高齢者に対しての過剰な介護サービスを行っている事業所を適正事業に向かわせたいという意向が読み取れます。高齢者向け住宅とは、住宅なので基本は住居としての機能を持っています。入居することで、何かあった時には併設の訪問介護でヘルパーを、必要時は併設もしくはグループの通所介護を利用できる、または配食、給食などの支援を受けることも可能です。さまざまなサービスの基点となり「困ったときは利用できますよ」を売りに、方法によってはグループや連携事業を伸ばすことも可能です。

いわゆる「囲い込み」と言われるのはこの連携事業を伸ばすために故意または悪質にとらえられる場合があるのです。利用者が望んでいる望んでいないに関係なく、身体状況から判断して適切かどうかの正当な手続きが行われず、連携事業があるから利用をしようと進める場合があるということです。

高齢者向け住宅への入居=併設の訪問介護の利用が必須

           =連携の通所介護の利用が必須

という連携事業の利用を前提に入居を制限している実態がはびこっているようです。第一に連携事業の収益を優先しているかのような動きでは、「自立支援」の基本理念にはほど遠く、選択の自由まで奪っているということになるでしょうか。ある意味、事業の継続や人手不足の状況を考えるとこのような結果が生まれてしまっているようには感じます。現在「同一建物減算」といわれる減算対象となる仕組みもありながら、さらに制限をかけていこうと政府が考えているように感じます。

⑤医療・介護の人材確保に関し、就職・離職を繰り返す等の不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題

④にもつながりますね。人材を確保のために人材紹介業者を利用すると高額の手数料(年収の3割程度で平均42万円前後:2021年)の支払いが必要となります。事業所はこの紹介料を工面するにも一苦労でしょう。生産者人口が減り続けていき物価も上がると予想されているので、今後もこの紹介料は上がり続けるのでしょう。政府としてはこれに歯止めをかけたいですね。またこちらに関しても悪質なやり方なのか不明な部分もありますが就職・離職を繰り返し紹介手数料をかき集めるような実態となっている・・となると考えものですね。

紹介業者は、紹介した人材の年収の3割程度の紹介料を収入として紹介先の事業所から受け取ります。その中から一部を就職祝い金として紹介した人材へと配布するという手法をとっているところもあります。就職者としては、長く続くかどうかもわからない就職をするという不安定さを穴埋めするためにはとてもいい手法だと評価できます。がしかし年収の3割程度の紹介料を払う事業所はいつ辞めるかわからない人材に払うという、最悪退職された場合の代償としての大小は事業所の規模によって収益への影響も変わるのかなと感じています。

超高齢化社会となること、特に若者の人口減少が明確に分かっている社会問題を抱えた日本にとって、いずれの検討指針も、働く側と働いてもらう側、それにかかわる連携事業や関連業者に対しても納得のいく方策がとられることを望みたい。現状にとらわれず、いまや産業の中心となっているAIやロボット技術の活用、または外国人労働者などの面なども表にあがってきているが実用化している事業所はまだ氷山の一角にすぎない。画期的な議論を期待したい。

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